ユーロ/円相場は、99~100円のレンジを中心に揉み合う展開になっている。17日のギリシャ再選挙を受けて乱高下する場面も見られたが、結果的には特に明確な方向性を打ち出すには至っていない。ギリシャの再選挙では緊縮財政派が勝利したが、それでこの問題の展望が開けた訳ではなく、依然としてユーロ買いには慎重スタンスが目立つ。
ギリシャの再選挙では、全300議席中、緊縮財政派が161議席を獲得しており、過半数を制した。連立協議は順調に進んでいる模様であり、ギリシャ国民は今後も財政再建を進めることに一応の同意を示した形になっている。もっとも、これでギリシャの債務問題が解決に向かっている訳ではなく、あくまでもデフォルト(債務不履行)やユーロ離脱といった最悪のシナリオが回避されたに過ぎない。しかも、これまでギリシャ問題の影に隠れていたスペインやイタリアの債務問題も再びクローズアップされ易くなっており、スペイン債利回りは早くも過去最高を更新している。目先は20カ国・地域(G20)首脳会議、ユーロ圏財務相会合などのイベントが続くが、これらが危機封じ込めに向けて有効な対応策を打ち出すことができるのかが焦点になる。もっとも、目先は構造的な問題対応よりも、短期的なリスク収束を志向する展開が続く見通し。このため、一時的に政策対応期待からユーロの買い戻しが膨らんだ局面は、戻り売りスタンスで臨むべきだろう。
スペインに対しては、欧州連合(EU)が銀行救済で合意している。しかし、今後はスペイン政府が全責任を負うことになるため、単に銀行部門の問題が、国全体の問題として再評価されたに過ぎない。民間投資家への負担転嫁の動きに繋がる可能性もあり、当面はスペインリスクの軽減は難しいだろう。ユーロ圏財務相会合や、月末のEU首脳会合でマーケットの期待に応えることができるかが、問われる局面になる。
今後1週間の予想レンジは、97.75~101.00円。